ぶらり茨城
 『ぶらり茨城』は、いばらきを訪れた時の訪問記をつづっています。
 身近ないばらきの「今」を取り上げます。
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■ 柿岡地磁気観測所 ■
〜常磐線が停電する理由
2004年12月24日(金)取材


 常磐線で上野方面から下りの電車に乗ると、取手駅を過ぎたところで電車内の電源が落ちる。

 首都圏だけで生活する者にとって、この“停電”は驚きであり、茨城に住む者にとっては屈辱と思う者もいた。この“停電”に関し、ネット上では「電流が直流と交流で異なり、その切り替えのため一時的に停電が落ちる」といった趣旨の掲載を見かけることはあっても、それ以上踏み込んだ記載を見ることができない。ならばと、「それ以上踏み込んだ」ことをする宿命が我がサイトにはあると感じ、今回の行動に踏み切った。

 この物語は、常磐線の停電について探索した、ある一人の旅人の話である・・・(「プロジェクトX」風にしてみました・・・)。

 8時30分に起床。
 世間ではクリスマス・イブという、素敵なイベントがあるようですが、私は茨城です。
 前から行きたかった、柿岡『地磁気観測所』へ行くことにします!。
 準備を整え最寄り駅に行く途中、地磁気観測所見学の電話を入れます。今日の今日の話なので、受付できるかわからないとの返事で、折り返し電話をいただけることとなりました。

 新松戸駅から柏駅へ。
 途中で電話が鳴りましたが、電車の中なので出られず、柏駅で電話をかけます。すると、「13時以降でしたら、お越しください」との返事♪(*^^*)。
 土浦駅行きの電車に乗ります。


■土浦駅にてイカ天うどん
 土浦駅

 土浦駅石岡方面に行く電車を待ちます。10分ほど時間があるので、いったん「18きっぷ」を使って改札を抜けます。キヨスク茨城新聞常陽新聞を購入。再び改札に入っていきます。

 まだ時間があります。1番線ホームにある駅そばイカ天うどん(370円)を食します。汁がしょっぱく、うどんはぶつぶつしていて、ねぎがつーんとして大変美味です(^^)。

【土浦駅に入線】
 1番線に入線していきます。


【イカ天うどん】

【入線する常磐線】
 土浦駅1番線の駅そば屋さんにて。つーんと鼻に抜けるねぎがおいしいです(^^)。  水戸駅方面から常磐線が入線。「土浦駅始発」の電車に乗るのは始めてかも。

 程なくして水戸駅方面より土浦駅始発の電車が入ってきたので乗り込みます。
 今日は電車が人身事故のため遅れているようです。


■石岡駅に到着
 11時50分過ぎ、石岡駅に到着。
 改札18きっぷを見せ、改札を抜けます。前もって調べてあったバス停は、駅を出て左手のロッテリアの先にあります。バス停でバスの時刻を確認すると、12時5分のバスがあります。後、数分でバスが来ます。


【石岡駅 駅名標】

【石岡駅 駅舎】
 デザイン的に少し古いタイプのようです。  パルテノン風なデザイン。


【西友 石岡店】

【バスターミナル】
 土浦店と同様、すでに撤退しています。  駅に隣接しているターミナルです。


■バス停 内宿と八坂神社の大ケヤキ
 バスに乗車。
 途中で小学生がたくさん乗ってきましたが、私の目的地に着く前に皆、降りてしまいます。およそ30分ほどで下車バス停である「内宿」に到着します。
 近くに「八坂神社」があるので、ちょっとだけ撮影。もしかしたら、茨城百景の碑があるかな〜と思いましたが、ありませんでした(^^;)。


【バス停 内宿】

【内宿商店街】
 石岡駅からバスで30分。内宿でバスを降ります。  JRから離れている土地でありながら、商店街として地域が成立しているようです。


【八坂神社】

【八坂神社のケヤキ(欅)】
 祭神は素盞鳴尊(すさのおのみこと)で、災難、商売繁盛、文学、縁結びの神を祀る。  平成14年に認定された八郷町の保存樹。推定樹齢400年。幹周は6.73メートル。


■柿岡地磁気観測所へ向かう
 13時過ぎに訪問する約束をしています。
 気が付けば12時45分を回っていますので、地磁気観測所のサイトに書かれている案内どおりに歩いて行き、観測所を目指します。

 およそ20分程度で観測所の敷地内に到着することができました。

【「泉寿し」の看板を左折】
 乗ってきたバス停の道を戻るように歩くと、「泉寿し」の看板がありますので左折します。


【「たてはし」を通過】

【「岡崎工務店」を左折】
 道なりにまっすぐ歩くと「たてはし」がありますので渡り、突き当りを右折します。  しばらく歩くと「岡崎工務店」の建物があるT字路に出ますので、左折します。


【キャベツ畑?】

【「ゴミ収集小屋」を右へ】
 道沿いは畑になっていて、キャベツ?が青々と茂っています。  木造のごみ収集小屋のあるY字に出ますので、そこを右手に曲がります。


【柿岡地磁気観測所】
 敷地内に入っていくと、大正ロマンを感じさせる意匠を持った建物があります。アーチ型の入口が今となっては新鮮さを感じさせます。


■柿岡地磁気観測所の存在意義
 総務課のある建物に入り、ドアをノックします。

 担当者様が案内していただいたのは、会議室です。
 ノートパソコンとプロジェクターを用意し、ホワイトスクリーンを準備しています。私一人のために、大変な労力をかけてご案内をしていただく感じが見て取れます。これは迂闊な取材ができないぞと、気合が入ります!!(>皿<)。

【会議室】
 プロジェクターを利用してのご説明に、こちらも本気モードのスイッチが入ります!。


【地球は大きな磁石である】

【太陽風を防ぐ】
 地球に一本の大きな磁石が入っているようなイメージ。それが“地磁気”と呼ばれています。  太陽から吹き付ける熱風(太陽風)を防ぐ効果が地磁気にはあります。


【太陽風と地磁気の相互作用】

【火山活動でも地磁気は変化します】
により“磁気嵐”が生じ、・通信障害・人工衛星への障害・送電システムへの障害が生じます。  マグマがたまり、温度や応力、物質、水系、地形が変化し、電磁場が変化します。


【地球への様々な変化】

【国内の地磁気観測所の所在地】
 ・地球の磁場と電場の変化・地中を流れる電流の変化・大気中の電荷分布の変化があります。  地上で計測する地磁気データは性格で安定した数値が得られます。国内数箇所に在所。


 地磁気を観測することによって、下記のことが分かります(分かりかけているといった、憶測の部分も含みます)。

 ・天候の予測
 ・火山の噴火予測
 ・地震の発生予測
          など

 さらに、地磁気データは「同一箇所で継続して数値を拾う」ことにより、正確な情報になりえます。かつて観測所は30年間ほど東京都内に所在していた時期があるそうです。ところが都電が走ることにより、地磁気の正確な調査ができなくなってしまうため、地磁気計測に最適な場所に移転しなければならなくなりました。
 そこで候補に挙がったのが、現在所在する、茨城県柿岡なのです。
 地磁気観測所が柿岡に移設されてから計測したデータは、90年近くに渡ります。観測所が都内にあったときで30年。柿岡に移ってから90年、という情報の蓄積は、世界レベルで見ても他に例が無く、大変貴重な情報になります。

 地磁気の計測に関して、周辺で異なる電力を使用されると正確な計測ができなくなります。一番大きな外的要因は、ご存知の鉄道です。鉄道は大きな電気を使い、その使用においては計測に誤差を生じさせてしまいます。
 地磁気観測所を中心として、半径30km内が計測に支障を来たすとされていて、それが常磐線で言う「取手-藤代間」になるのです。

 鉄道の立場で考えると、「直流」(1500V)で電車を運行したほうが消費電力が少なく、経済的になります。しかし、観測所の立場で考えると、直流は観測において弊害となります。観測に支障を来たさないのは「交流」。交流だと20000Vの電力消費になり、鉄道の側からして見たら、不経済になります。
 観測に関し、上野よりの「直流」と取手以降の「交流」では磁場への影響が10倍も異なるそうです。地磁気観測は日本だけにとどまらず、世界レベルで必要とされる情報。日本の事情よりも、世界の事情が優先されるのが、ここにあるのです。


 ちなみに、取手-藤代間での電源切り替えを無くすためには、「地磁気観測所の移転」という方法があります。しかし、観測所の移転を行なうと、移転に関わる費用は「数億円」レベルでは収まらず、数十〜数百億円レベルになってしまうそうです(@@)。費用の面から言っても、“移転”という選択肢は厳しいものがあります。


 観測に関しては、観測所の職員の生活にも影響する部分があり、観測所近くには車の乗り入れが禁止されています。観測所脇への車の乗り入れは5台までが限度。それ以上の車は、少し離れた駐車場に停めることが義務付けられています。



■観測所の施設
 室内でのプレゼンテーションが終わり、観測所の施設を案内していただけることになりました。


【地磁気観測施設】
 柵で区切られているのは、所持している腕時計やベルトなどの貴金属類が計測に支障を来たしてしまうため近寄るのを禁止しています。もし、近寄る場合は、身に着けた金属類は一切、取り外す必要があります。4棟あります。


【観測施設の設計趣旨】

【絶対観測所】
 観測施設は北側だけにしか小窓が設けられていません。外気や太陽による室内への温度上昇を防ぐためです。正確な位置を確認するために北極星を利用しますが、基準点となるコンクリートの柱(後述)を使い、真北を計測しています。  観測施設の右手にある建物。「絶対観測所」と呼ばれ、大事な計測のときにのみ、こちらの施設を利用し、計測します。こちらでは機器の操作はすべて手動。右手の小さい小屋はエアコンの機材が収納されています。週1回で利用。



【空中電気室】

【建物横の管から水】
 大気にはおよそ100V/mの電場が掛かっています。この電場の変動を観測する施設。  建物横に管が伸びていて、水(霧)が絶えず流れています。右手の計測器で電場を計測。


【計測器】

【方位標】
 霧の中で電場を計測。からから音が聞こえますが、筒の中でペラが回転しているのです。  先ほどの観測施設の真北を計測するための指針になる塔です。


【石室(いしむろ)】

【石室を裏側から】
 大正元年に建てられました。1階部分は盛り土で固められており、建物内の温度を一定に保つ工夫がなされています。  盛り土のおかげで、関東大震災(1923年:大正12年)を唯一乗り越えることができました。これ以外の建物は大正13、14年以降の建築です。


【実験室】

【計測処理室】
 昔の地磁気観測施設。現在では観測機器の検査をするなど、臨時に使われる程度。外的な磁気に影響されないよう、レンガ造りで屋根は銅版が使われています。  各施設で計測されたデータを一元管理しています。一種のサーバールームです。ここにある施設は2004年度が終了後、新規の設備と入れ替えるそうです。


 1時間30分ほどご案内をいただきました。
 貴重な体験をすることができました。お礼を言い、敷地を後にします。


【車が止まっている】

【職員の寮】
 敷地内には外的に磁気が影響しないよう、5台までしか駐車することができません。  観測施設よりかなり距離を離しているので、TVを使おうがエアコンを使おうが、観測には影響しないそうです。


■石岡駅に戻る
 「吉生入口」と言うバス停を発見。石岡駅行きとなっていますし、後1分でバスが来ます。

 バスに乗ること50分・・・。フラワーパーク前を通ったりします・・・。どうやらこのバスは石岡駅には行くものの、遠回りの路線のようで、行きが「550円」だったのに「890円」かかりました・・・(´・ω・`)。

【バス停 吉生入口】
 観測所から内宿の商店街にもどる途中で見つけました。石岡駅に行くようです。

 石岡駅構内にあるパン屋さんで、ハニートーストホットコーヒーをいただき、上りの常磐線を待ちます。
 まだ時刻は16時15分を回ったところ。しかし、ちょっと疲れてしまったため、どこにも寄り道せず帰宅することにします・・・。


(この項おしまい)
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更新日 2005/05/04
2005年05月04日 UP

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【サイト紹介】1985年(昭和60年)3月17日から9月16日まで茨城県筑波研究学園都市にて開催された、『国際科学技術博覧会(通称・科学万博−つくば’85)』〔EXPO’85〕や、茨城県県南地方(土浦市・つくば市)のイベント、JR常磐線(旧トンネル)、廃線となってしまった筑波鉄道(つくばりんりんロード)を中心に繰り広げる、「いばらき だいすき」なサイトです。

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